商談の録音が、そのまま営業日報になります。詰まったのは技術ではなくAPIでした
今日は、営業の記録をAIに書かせる話です。
結論から言うと、商談を録音して、それを営業日報や顧客管理システムに自動で入れるところまでは、わりと簡単にできます。私はもう自分の会社でやっています。
つまずくとしたら、技術ではありません。使っているシステムがAPIを開けてくれているかどうか。そこ一点です。
■ 入口は、スマホの標準機能で足ります
私は3年ほど前から、GoogleのPixelというスマホを使っています。
これに「Googleレコーダー」という文字起こしアプリが最初から入っていまして、これが結構よくできているんですよ。しかも無料で使い放題です。会議でも商談でも、録音ボタンを押しておけば文字になります。
残念ながら、Pixel以外のスマホには入っていないかもしれません。ただ、いま文字起こしができる道具は他にもあります。Nottaのようなサービスもありますし、Claudeに読ませてもいい。無料のWhisperというツールを使って、AIエージェントに「自分専用の文字起こしツールを作って」と頼むこともできます。
道具はもう揃っているんです。今日話したいのは、その先です。
■ 本題は「そのあと、誰が入力するのか」です
営業で商談をしますよね。
多くの会社では、そのあと営業日報を書きます。あるいはCRMやSFAと呼ばれる営業管理システムに、後から入力します。
ここが、たいてい詰まります。
キーボードを打つのが面倒だという人がいます。スマホでちまちま入力するのが大変だという人もいます。結果として、営業担当がやってくれない。入力されなかった記録は、存在しないのと同じです。
私はこれを自動化できないかと、だいぶ前から取り組んでいました。
やってみると、わりと簡単でした。
Pixelで録音すると、文字起こしされたものはクラウドにも同期されます。それを画面からコピーして貼るだけでもいい。私が提案しているGoHighLevelという顧客管理の道具なら、Claudeと自動で連携できるので、貼り付ければあとは自動で処理されます。もっと言えば、Claude Codeに、その自動化の仕組みごと作らせることもできます。
■ ここで一度、壁にぶつかりました
ただ、道具の側にも差があります。
Claudeは、APIやMCPという繋ぎ口が比較的低コストで組めます。一方でNottaは、かなり高い月額契約をしないとAPIが使えません。
私も最初は、ここがネックだなと思っていました。
ところがClaudeにしっかり相談していくと、「実はこういうやり方もあります」という提案が返ってくるんですね。裏技と言ってもいいかもしれません。
ただ、これは会社さんによってできたり、できなかったりします。なので、ここでは説明しません。気になる方はコメントかメッセージをいただければ、個別にご案内します。
■ 本当の壁は、国内システムのAPIでした
ここからが、今日いちばん書きたかったことです。
繋ぐ相手が、繋がせてくれないことがあります。
セールスフォースをはじめとする米国系のCRMは、ほとんどがClaudeと連携できます。ここは問題ありません。ところが先日聞いたところ、国内のシステムは割と閉鎖的で、そもそもAPIが開放されていないケースが結構あるそうです。開放されていても、高いプランでないと使えない。Nottaと同じ構図です。
思い出したのは、以前POSレジのシステムを検討したときのことです。
プロジェクトメンバーの一人として、打ち合わせに入りました。私が知りたかったのは、たった一点。APIで繋げるかどうか、それだけでした。
返ってきた答えは「カスタマイズで開発します」でした。
怖くて金額は聞きませんでした。ただ、数百万円規模の空気ではありました。
1つのクライアントのためだけに、APIを1本つくる。そんな話があるのかな、と思いました。
会社名は出しません。会社さん自体は、まともな会社です。悪意があるわけでもないと思います。おそらく本人たちは「これが業界の常識ですよ」というつもりで言っている。それが多分、日本のIT業界のスタンダードなんでしょう。
だまされている、という話ではないんです。ただ、日本の常識は世界の非常識、というのは確かにあると思います。
だから道具を選ぶとき、機能の一覧表より先に見るべき項目があります。APIが開いているか。開いているとして、どのプランからか。ここを最初に聞いてください。契約してからでは遅いんです。
■ 面白いのは、ここからです
話を戻します。
営業の音声を文字起こしして、CRMに投入する。ここまでは、もう普通のことになりつつあります。
私がいま試しているのは、その先です。お客さんの話の「温度感」自体をAIに解釈させる、というところまでやってみています。
これまでは、もっと客観的なことをやっていました。セールストークの台本を作るとか、数を集めて正解や平均値を出すとか。そういう処理です。
でも今は、感情の動きがAIで分析できます。
ここまでできるようになると、マネージャーの仕事すらAIが代わりにやってくれるようになるかもしれません。誰が何を言ったかだけでなく、そのとき相手がどう感じていたかまで、記録に残るからです。
いよいよ面白い時代が来たな、と思っています。
■ まとめ
・録音から営業日報・CRMへの自動入力は、技術的にはわりと簡単にできる
・入口はスマホの標準機能で足りる(私はPixelのGoogleレコーダーを3年使っています)
・詰まるのは技術ではなく、繋ぐ相手がAPIを開けているかどうか
・米国系のCRMはほぼ繋がる。国内システムは非開放や上位プラン限定が結構ある
・道具を選ぶ前に「APIは開いていますか。どのプランからですか」を必ず聞く
・次に来るのは、会話の温度感をAIが読む世界
まずは今日、いま使っている営業管理システムの担当者に、一言だけ聞いてみてください。「APIは開いていますか」。答えが返ってくるまでの間が、けっこう情報量あります。
本日はこの辺で。
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中山博之(ニタ)
会計ソフト会社に29年、社長業は19年目。中小企業の現場で生まれた仕事の仕組みを、AI時代向けに作り直しています。「AI社員が働く会社」の実践を毎日発信中。
